日本の庶民の魚の代表といってもいい鯖。以前は世界の漁獲量年間200万トン中、日本ではその半分を占める100万トンが水揚げされていましたが、現在は約50万トン程度の水揚げ量となっています。しかしながら漁獲量が減ったとはいえ、現在も世界トップの水揚げ量をほこります。
一般的に「さば」と呼ばれているものには、マサバとゴマサバがあります。
マサバ
ゴマサバ
ゴマサバはマサバよりやや小型で腹部が太っていて体全体に丸みをおびています。体調が25センチから30センチ程度で体の側面と腹麺に多数の小暗色の黒斑点があります(体調が17センチ以上のもの)。その斑点が「ごま」のように見えるので、ゴマサバというわけです。ただし最近特に、個体によっては、ゴマ模様(黒斑点)がほとんど無く、解りづらいものもいます。
(赤線で囲った部分の斑点が”ゴマ”に見えるからという人と、その下の腹の部分の斑点が”ゴマ”の様に見えるからという人がいますが、とにかくこのような模様です。)
マサバは寒海性でゴマサバは暖海性。なので、旬も違ってマサバは冬の寒い時期、ゴマサバは夏の暖かい時期となります。旬になるとマサバはかなり脂がのります。ゴマサバもまた、脂がのりますがマサバほどではなく、サッパリとした味わいが特徴です。
例えば、刺身にした場合、マサバは脂の甘みが特徴的ですが、ゴマサバは脂分が少ないため「さっぱり」とした味わいと身のぷりぷりとした歯ごたえが特徴的になります。どちらが美味しいというのは、好みが分かれるところでしょうが、一般的にはマサバの方が高く取引されていて好まれています。
夏食べるのであれば、旬はずれのマサバよりも旬のゴマサバのほうが美味しいとも言われています。マサバは夏場は極端に脂が減るようですが、ゴマサバは1年を通じて安定しています。
また、現在「ノルウェーサバ」あるいは「タイセイヨウサバ」と呼ばれる外国産の大変脂ののったサバも多く出回っていますね。(多くは、加工・冷凍)
マサバ、ゴマサバ、ノルウェーサバの模様の違い
なんとなくおわかりでしょうか?
タイヘイヨウサバは、背中の模様がシンプルに直線的で「はっきり」しています。それから比べると、マサバもゴマサバも模様ははっきりしていませんね。そして、ゴマサバはゴマのような黒い斑点が特徴的です。
これらは、「サバ」として販売して問題ありませんが、ゴマサバを「マサバ」で販売するというようなことは避けたいところです。
…とはいっても、実は最近マサバとゴマサバの違いが分かりにくい場合が多くなっているのです。ゴマサバの黒い斑点が不明瞭なものが増えていて、なかなか見分けがつきにくくなってきているそう。漁師でも見分けがつかないこともあるくらいで、サバ専門家であっても黒い斑点がはっきりしないサバに関してはレントゲンを撮って、棘条(きょくじょう:背びれの硬いトゲ)の数を数えて区別するそうです。(9~10→マサバ、11~12→ゴマサバ)
その他にも、計算によって区別する方法もあります。この方法は99パーセントの確率で区別できるそうですが、正確に計るということが大切になってきます。
「第1棘条の付け根から第9番目の棘条の付け根までの長さ」を「尾叉長」 (びさちょう:上顎の先端から尾鰭が二叉する中央部の凹みの外縁までの長さ)で割って100を掛けます。その答えである数字が12以上でマサバ、12未満でゴマサバと判断されます。
…なかなか、ゴマサバとマサバを見分けるのも大変ですね(笑)。ま、黒い斑点がでているのなら、「ゴマサバ」で間違いはありません。ごくたまに、「これマサバじゃないの?」っていうゴマサバだったり、「ゴマサバじゃないの?」っていうマサバが入荷されることがありますが、もしかすると中には間違っているものもあるのかもしれません。
どちらかはっきりしないものは、「サバ」で販売したほうが安全なのかもしれませんね。